「今日はありがとう」


「あー、昼休みの事? あんなの気にしなくていいよ。また言ってくるなら僕が相手するからさ」


時雨は事も無げに言った。


「ありがとう」


楓はまだ俯いたまま、そう言った。


「うん」


時雨は軽く返事をし、それから沈黙が流れる。


「……前にも」


「ん?」


「前にも、去年にもあんなことを言われた事があったの。
でも、誰も助けてくれなかった」


楓はポツリとそう言葉を溢した。