抱きしめられたとき、 香った匂いが同じだった。 あのくせを、わたしは覚えていた。 抱きしめたら、必ず頭にキスをする。 あのくせは、『なおくん』だった。 記憶のなかのなおくん。 まだ顔もでてこない。 だけど確かに、 覚えているんだ。