担任の先生が自己紹介をして、明日からの学校生活のことを聞き、解散した。

午前中で終わったので、帰りは那月と最近できたばかりという、新しいカフェに行ってみることになった。


店に着き、注文を取ろうと店員を呼ぶと…



「あれ、さっきの…」


わたしは驚きのあまり目を見開いた。
だって店員さんはさっきの助けてくれた先輩だったから。

「あ!あの!!さっきは助けていただいてありがとうございました!!!!」

立ち上がって、周りのお客さんに迷惑がかからない程度の声でお礼を言うと…


「全然だよ。かわいい顔に傷がつかなくてよかった」


また、だ。
さっきと同様の不意打ちの微笑み。

そして今度は、かわいい、なんて。


「あ、ご注文まだだったね…」

「名前っ!!!!」

「え?」

驚かれた。無理もないだろう、いきなり名前!なんて大きい声を出されたら。

「名前を教えてください…」

声が、少しだけ震えた。

「俺?俺の名前は樋口 蓮(ひぐち れん)。2年生。
君の名前も教えてもらえるかな?」

「えと、私は1年生の相場慧です!」

「慧ちゃん、よろしくね」

また、微笑まれ注文を受け取り戻って行ってしまった。