「部活には慣れた?」

「はい!先輩たちも優しくて話しやすいので、とても楽しいです!」

「そう、それならよかった」

ふわっと微笑み、儚い笑顔が何度もドキドキする


「そう言えばアメ玉ありがとうね
今、食べちゃおうかな」

「どうぞどうぞ!
疲れた時には甘いものですよね!」

「うん、そうだね」



アメ玉の包みを細くて長い、綺麗な指で取ってからパクッと口に入れた

さすが樋口先輩、食べ方も美しいんだな。なんて考えていると…


「アメ玉のお礼に今度、慧の好きなお菓子奢るね。」

「え!?そんな!!!!たったアメ玉1個でそんなこと!!!!」

「俺がしたいことだからさせてよ」

私は樋口先輩の笑顔にとても弱いらしい…

いつも笑顔で言われると…

「すみません…」

承諾してしまう……


そしてまた家にいつの間にか着いてしまってて、


「今日もわざわざありがとうございました」

ぺこりと頭を下げてお礼を言うと

「ううん、じゃあまた明日。
あ、待って」

「?」

「前は和也が来ちゃって言ってもらえなかったけど…
おれの下の名前呼んでみて?」

「えぇ!!!? 先輩まだ覚えてたんですか‼︎?」

「もちろん、ほら呼んでくれるまで帰さないから」

そう言われた途端、先輩の長くて綺麗な手が私の手首を掴み言葉の通り帰してくれなそう


触れてるところが熱くなる


でも、名前を呼ぶことも恥ずかしくて言えない


「ううー… 先輩、ご勘弁をぉ…」

「ダメ〜、ほら早く〜〜」


このままだと精神的に死にそうだから、名前を呼ぶことを選んだ


それでもやっぱり恥ずかしい


「やっぱり…言わなきゃダメですか?」

「もちろん。俺だけ苗字とかなんか嫌。」

「うぅ…」



どうして他の男の人の名前は言えるのに、好きな人の名前は言えないんだろう…

「で、では。 いざっ!」