考えていると、


「相場!ドリンクくんね?」


汗だくの隆弘くんが話しかけてきた



「隆弘くん、もう全部飲んだの!?」


私がさっき隆弘くんに500mlの容器に入ったボトルを渡したのがほんの2、3分前のこと、


「あー、俺めちゃくちゃ水分いるやつでさー

ご覧の通り、汗が止まんねーんだわ」


ニカっと笑いタオルで汗をぬぐう姿がとてもワイルドで、なんだかおかしくってクスリと笑ってしまう

「ふふ、ちょっと待ってね。
余ったドリンクがあったから…

あ、それとタオルもうぐっちゃりでしょ?

私のタオル代わりに使って!」

「え!? いやいや! 悪いよ!」

「大丈夫だよ‼︎ 1回も使ってないし!

それに、そのタオルじゃ拭いた気にならないでしょう?」

「それは、そうだけど…」

「なら使って! 早く拭かないと風邪ひいちゃう!」

「じゃあ、お言葉に甘えて使わしてもらうな」

「うん!」

その時、隆弘くんの顔がほんの少しだけ赤くなった気がして…

「隆弘くん! 顔がーー…」

言いかけた瞬間、



「慧。
俺にもドリンクくれる?」

声が聞こえた方に体を向けると、

隆弘くんとは打って変わって、汗もなく涼しげな顔で樋口先輩が来た

「樋口先輩も飲むの早いんですね」

「あぁ、うん。まぁね。」

疲れてるからなのか少しだけ元気がないように見える樋口先輩。

「じゃあ2人とも少しだけ待っててください!!!!」

そう言って急いで余分のドリンクを取りに行く

そう言えば、さっき隆弘くんの顔が赤くなった気がして熱が出たかと思ったのと同時に、


さっき樋口先輩も元気がないように見えたのも思い出す。


2人とも、なんともなければいいけどな…



そう願いながらドリンクを取り、2人のもとに届けに行く。