「え!!あのこれっ!!」
「ダイジョーブ、今日走ってる間は来てないから汗臭くないよー。」
「いや!そうではなくて!
申し訳ないです!!!!先輩来てください!!!!」
「慧?俺を見てごらん。
しっかりとブレザーも着ているし、下にはしっかりセーターもある。
それに比べて慧はどうかなー?」
「うぅ…
でも!申し訳ない…」
「いいから着なさいっ!」
ぐいっとジャージのチャックを全部閉められ、着せられてしまった。
「すみません……
しっかり洗って返すので……」
「全然そんなことしなくていいのに…」
「私がなんとなく嫌なので…」
「それじゃ、よろしく」
借りたものはしっかりと綺麗にして返さないと気が済まない…
そして…
先輩の匂いがする……
石けんのいい香り
先輩のジャージは私には大きすぎて、丈は太ももが隠れそうなほど。
腕もビロビロで手なんて全く見えない。
これをずっと樋口先輩が着ていたと思うと恥ずかしくて顔が赤くなる
「そう言えば慧はさ、俺の事下の名前で呼んでくれないの?」
「え?下の名前?」
「うん、キャプテンとか圭人、他の奴らも下の名前で呼ぶのに俺だけ苗字。」
「あ…言われてみれば……そうですね…」
まったく気にもしなかったことを樋口先輩が言うものだから、自分でも感心してしまった。