帰りは和也は同じ陸上部に入った友達と遊んでから会えるそうで、私は1人で帰ることにした


和也は誰にでも優しく、みんな平等に接するとてもいいやつだから、友達もあっという間にたくさんできてしまっている



季節は春だが、まだまだ寒いし日も少し早く暗くなる

その上今日は朝から暖かかったからブレザーを家に置いて学校にきてしまった。


「うー、さっむ…」

手をさすりながら薄暗い夜道に向かって帰ろうとした


その時、



「あれ?慧1人?
和也はどうしたの?」


まだ全然慣れない呼び方に、むずむずするような感覚

「樋口先輩!えと、和也は友達と遊んでから帰るらしくて…」

「女の子を1人で帰らせるなんて、危険な奴だなー」

「そんな!私、こう見えてケンカ強いんですよ!!!!」

「あははっ!
威張っちゃダメでしょう」

無邪気な笑顔が私の心をドキッとさせる

「ま、どうせだし一緒に帰る?」

衝撃な一言。

「え!!!!い、いいんですか??」

「なにーそんなに俺と帰るのいや?」

「いえいえいえ!!!!
そういう事ではなくてですねっっ
あのっ、なんて言うか…そのっ」


なんて答えていいのかわからなくて、ワタワタしていると


「ぶふっ!!!!あはははっっ!
その慌てっぷり! 慧は忙しい子だね」

ドキッ…

なんども繰り返される胸の高まり

自分ではコントロールなんてできなくて…

「帰ろう?」

そんな風にかわいい顔で言われたら…


「はい…」


断れる分けなくて……



「はっくち!」


なんとなくいい空気を壊す私のくしゃみ

やっぱり寒いからなのか、すこし恥ずかしくなる


「ん?慧ブレザーは?」

「朝が暖かかったので、家に置いてきてしまって…」

「バカだな。春って言っても夕方になればまだまだ寒いんだから。
ほら、これ着な」



そう言って自分の部活用ジャージの上をふわっと私に着せてくれた