-「はい、もしもしお電話頂きました。コンプレ社連絡部の者です。ご用件は?」
つながった瞬間嬉しいような信じられないような複雑な気持ちを味わった。私はホントは死にたくない。ホントは生きたい。じゃあ、これに頼るしかない。その一心でかけた電話がホントに繋がるなんて.....
「あの、ご用件は?」
「あ、はいすみません。玉川虹恋といいます。あの、コンプレックス買うってホント.......なんですか?」ドキドキ.....鼓動が早くなって緊張してるんだってことが自分で良く分かる。
「ええ、まぁ。ガセでやってたらクレーム殺到しちゃうじゃないですか?売上いいんですから、うち。あ、申し遅れました私あなたの担当をさせて頂きます未来と申します。では電話番号とコンプレックスの内容をおきかせください。」
その人はとても清楚で綺麗な声だった。未来と名乗っていたけど苗字なのか名前なのか良く分からない。

「私、市内の桐川高校に通ってるんですけど..........」その次の言葉が口に出せなかった。一番聴いて欲しいことが思い出し、手が震えてきた。
「大丈夫、落ち着いて」未来さんは、そう言って私を安心させてくれた。いつの間にか手の震えは治まっていた。
「私は学校でグループからの圧倒的ないじめと教師からの........セクハラにずっと耐えてきました。」涙が止まらなかった。先生達のあの、不気味な笑顔、グループの女子5人で私へ一斉攻撃-.......思い出せば出すほど辛くてたまらなかった。そしてしのうと思っても直前で出来なくなる私に腹が立った。情けなかった。
「そうですか、それはうちの会社ではなく警察に届けた方がよろしいのでは?」確かにそうだ。でもセクハラなんか、先生達をクビにして、署で3,4年の刑で終わってしまう.....私の傷ついた気持ちがたったそれだけの年月で癒せるはずがない。だから自殺しようとしたんだ。
「つまり、面倒くさい女社会から逃げたい、というわけですね?」

「はい。」
そして私は未来さんに携帯電話を教えてあすの連絡を待った。屋上から空を見上げると真赤な夕日が嘘みたいに綺麗だったー.....【誰がどれだけ苦しんでいようと空は綺麗なんだ】