「はぁ、はぁ、はぁ……」


山を掛けてようやく目的の場所に辿り着いた。


鏡花は膝に手を置き荒い呼吸を落ち着かせる。


それは時間稼ぎだったのだろう。


顔を上げたくない。


見たくない。


そう思ってしまう。


「……っ!」


鏡花は意を決して顔を上げた。