「あそこにねこがいる」 幼い鏡花が指差したのは公園の木陰にあるベンチだった。 そこには一匹の黒い猫が座っていた。 「いないよ?」 しかし、女の子はそう言った。 「いるよ」 「いるってば」 そんな言い合いをしていると、他にも遊んでいた三人が集まってきた。