「鏡花? どうしたんだ?」


振り返ってから動かなくなった鏡花に、心配した祖父が声を掛ける。


しかし、祖父の言葉は鏡花の耳に入っていなかった。


くらりと世界が揺れた。いや、揺れたのは別のもの。


鏡花の目の前が暗くなる。




最後に鏡花が見たのは



「ごめんね」


涙を一滴流して謝った桜花だった。