「少年に話し相手ができるのでしょうか?
ということで、今日の話はここまでね」


桜花は手をパンパンと叩いて区切る。


「えー、全然桜出てこないじゃん。
もう少し話してよー」


思いの外話に聞き入っていた鏡花は続きをねだる。


「だーめ。もう日が暮れてきたからね。
早く帰らないと足元が危なくなるよ」


桜花の言う通り、辺りは沈む太陽でオレンジ色になっていた。


鏡花は腕にはめていた時計を確認すると五時近かった。


「もう少し聞きたかったんだけどなー」