部屋の明かりを消して襖をひいて、台所に向う。 台所には祖母が夕飯を器によそっていた。 「鏡花、そこに置いてある器を持っていってちょうだいな」 「わかった」 鏡花は素直に頷き、既によそわれていた器を無理のない程度に持って、居間に向かった。 そこには新聞を広げている祖父がいた。