鏡花は仏壇の前に手を合わせ、目を閉じていた。 (お母さん、ただいま。 今日ね、不思議なお兄さんに会ったの。 とっても優しい人だったよ) 鏡花はそう心の中で報告した。 そうやって報告してニ、三分がたっただろうか。 鏡花は閉じていた目を開けてロウソクと線香の火を消して立ち上がった。