鏡花は山道を降りていると、ふと、桜花はどこから帰るのだろうと思い、今まで来た道を戻って確認してみたくなった。
バレないように少し離れた所から見てみた。
しかし、そこには桜花の姿が見当たらなかった。
「えっ?」
鏡花が驚いたのには理由があった。
今まで鏡花がいた場所は周りに帰れる道が今、鏡花が通って来た道位しかないのだ。
あるとしても獣道で、好んでそこを通る人はいないだろう。
だが、鏡花はまだ幼かった。
だから余り深く考えずに他に通れる道があるのだろう、としか考えなかった。
鏡花は少し残念な気持ちだったが、その後は素直に家に帰って行った。