「来年、ココに来れるかわからない……。」



想像していた中で、一番嫌な言葉が聞こえた。




「なんで……?」


私は、涙を流さないようにこらえた。




「家の事情だよ…。

羽紀にも話せない……。」



「何よそれ……」



「ごめん………。」



「意味わかんないよっ⁉︎


なんで?


嘘でもいいから、

いつもみたいに言って欲しかったっ‼︎」




私に希望をもたせて欲しかった。




また、会えるっていう希望を。




「んなの……、



ーー言えるわけないだろ⁉︎」




ーービクッ。

蓮の急な大声に、私は驚いた。



蓮の肩にのせている手も、

振動で一瞬肩から離れる。




ーーその時、


蓮は振り向いて私の手を左手でつかむ。



本当に、一瞬のコトだった。



下をうつむいていた蓮の顔が、

すぐ目の前にある。




その間、5㎝ほど。




「蓮……?」


蓮の顔は今にも泣きそうで、


瞳に涙がたまっていて、


こらえてるんだなって、わかった。


けど、我慢できず、

その瞳から、一粒の涙が頬を伝う。




「俺は、

お前にだけは、嘘をつきたくないんだよっ‼︎」





そう言ってくれた蓮の左手は暑くて、

ギュッと、さらに力が強まる。





5㎝向こうの蓮の顔は、


力強くて、


嘘はついていない様子だった。