私は、ただただ、滲む夜空を見上げながら黙っていた。
蓮の返事が聞きたかったから。
『また明日、この場所で。』
ーーって言う、私たち2人の魔法の言葉を。
けど、蓮は待っても待っても
何も言ってくれなかった。
私の声も蓮に聞こえてない今、
私たちの立っている場所は静寂を呼ぶ。
ただ、コオロギの音色が聞こえる。
今さっきよりも、鮮明に。
……少し、気持ちが落ち着いた。
私は蓮を抜く勢いで、
蓮のもとまで走った。
ーーそして、叫ぶ。
「蓮がココに来なくても、
私は毎年、毎日、あの向日葵畑で、
蓮を待ってるから!
この暑い夏の季節、ずっと、待ってるからっ‼︎」
瞳の中で滲んでいた涙が流れた頬を私は拭う。
もう、私の心を滲ませるものはない。
私は蓮に追いつき、蓮の隣で止まった。
「待ってるからね?」
肩にそっと手を置いて耳元に呟いた。
大声が出せなかったから…、
ちゃんと、聞こえるように。
返事が欲しい。
首を縦に振るだけでもいい。
返事が欲しかった。
だからわざと、疑問系で蓮に聞いた。