「結構、暗くなったな〜……。」
夜空を見上げて、蓮が言う。
「そうだね、
私たちも来年は中学生か……。
楽しみだねっ‼︎」
私は、元気に振る舞った。
「今日で、最後なのかな……。」
聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「ーーそんなことないよ‼︎」
蓮の方が一瞬 強まる。
「私たちは、来年も!
再来年も!
そのまた次の年も、“ココ”で会うんだよ‼︎
ーーねぇ、会うよねぇ…………?」
会うって言ってっ‼︎
「……………。」
蓮はだんまりで、私の言葉に反応しない。
「なんか言ってよ⁉︎」
「……………………。」
また、だんまり?
最後の日に、それはないよっ……。
私の頬には、なんだか暖かいものが流れた。
その瞬間から、私の目の前のものは、蓮を含む全てのものがゆがんでいった。
綺麗な月も、
夜空に輝く星々も、
足元を照らしてくれる電柱も、
ただの光の反射で、区別不可能になり、
ただ、コオロギの奏でる音色だけが聞こえた。
ーー蓮は、もう、“ココ”には来ないの?
私のコトは、忘れてしまうの?
私の頭の中では都合の悪いことばかり流れ出ていて、正直、考えるのも不快だ。
この世界が、年中夏の世界なのだったら、
私はこんな思いはしなくてよかったのかな…?