急に、自己紹介された。
……えっ、なぜ?
「人が名前教えてんだ。
普通は自分の名前も明かすんじゃないのか?」
“教えてくれた”って言うか、
“無理やり聞かされた”の方が
合っていると思う。
まぁ、どっちみち、
名前を名乗らないと
会話が成り立たないので、
私も自己紹介をした。
「私は、
【一之瀬 羽紀】(いちのせ うき)です。」
「へ〜〜……。」
会話が終わる。
これなら、なぜ名前を言ったのやら
わかりゃしない。
彼は、山道を降るスピードを
少しばかり、緩めた。
何故だろうと、私は
蓮と言う少年を帽子を避けて
覗き見た。
そうすると、彼の頬は少しばかり
赤らんでいた。
もしかして、彼は
私と話すのに、
やや緊張していたのかもしれない。
そんな彼の頬が、
夏の暑さのせいなのか、
私のせいなのか、
はたまた熱のせいなのか……。
気になりどころではある。