私が名前を書かなかったのが
悪かったのだろうか……。
それとも、彼が
私の帽子を拾ったのが悪かったのだろうか。
そんなコトは考えてもわかんないけど、
わかったことが一つ。
私のお気に入りの帽子は、
今のままでは返してもらえないだろう。
彼は、私に言うことを言ったら
向日葵畑を去ろうとした。
そんな彼を私は、
追いかけた。
とぼとぼ と、山道を下って行く。
彼は、口笛を吹きながら呑気に降りる。
帽子……、返してくれないのかな………?
それは困る!
私のお気に入りだもの。
どうにかして、取り戻さなきゃ‼︎
私は胸に決意を抱く。
「ーー蓮。」
不意に、彼から声が聞こえてくる。
「………………へ?」
「……名前。
俺、【羽瀬川 蓮】(はせがわ れん)
って言うんだ。」