「君のその帽子、何処で拾ったの?」



私は少年に聞こえるくらいの声の大きさで問う。





「さっき、そこで見つけた。」


少年は答える。



ーーやっぱり‼︎




私は確信を得た。




今、彼がかぶっている白い帽子こそが


私の探していた、お気に入りの帽子なのだ。




「実は、その帽子、私のなの‼︎」


「信じられない。」


「ホントなんだって‼︎」


「ますます信じらんない。」





少年は、結構ひつこい奴だった。





「じゃあ、どうしたら信じてくれる?」


「信じられるようなコトしたら、信じてやる。」






信じられるようなコトって……。



さすがの私でも、


お気に入りの帽子に名前を書くわけないし、

何か矢印がある訳でもない。




私には、


彼に示す、信じられるようなコトは、



なかった。