彼に惹かれて告白し、玉砕した女子の数は既に二桁。


ちなみに台詞は


好きな人が居るから


らしい。



好きな人ってのはアイリなんだろうけど。






アキたちは二人をラブラブだって言うけど。



俺には、すごく距離があるようにみえる

まるで二人の間には見えない境界線があって、触れると火傷してしまうような。


二人の間の距離は、そんなかんじだ。



それに、ちらりと見えた横顔はリエ言ったような王子なんかじゃなくて

笑っていなかったし、どこか冷ややかな感じがした。  








「___ちゃん!!」


「あら、どうしたの?」


「あのね、アタシ___のこと好きになっちゃった!!

ねぇ、応援してくれるよね?


___ちゃん、幼馴染みでしょ??」






「ええ、もちろんよ」







もし、あの時。


アタシがあんなこと言わなければ




今も、彼女は、私の隣で……








「こんにちは」


声は、上擦っていないだろうか。


なんて、今更な心配をする。




図書室。彼女と会えるかなって一週間通い続けた意味があった




パチリ、と目を開き、すぐに納得したよう睫毛を伏せた


「リク、久しぶり」



名前を、覚えていてくれた。


それだけなのに、すごく嬉しい自分がいる。



名前をよんでもらっただけなのに、その響きに感動。


「アイリ、久しぶり」






「どう、学校には慣れた?」


さり気なさを装って彼女の隣に立ち、読んでいる本を覗き込んだ





「ああ、まぁ」




曖昧に誤魔化すアイリ。





ってか今気づいたけど凄い距離ちかい。



俺が向きを変えたらすぐにキス出来そうなくらい


って、おい。



俺は何考えてんだか


首に彼女の金髪がかかり、くすぐったい



サラサラだなあ、なんて。


視界に入る金髪はところどころ光の加減からかひかって見えてなんだか神秘的だ。




「まぁまぁかー、そっか」



無表情でまあまあと呟いた彼女だけど嫌いといわないらへん、普通に気に入ってくれたのかなって嬉しくなる。





ニコニコする俺に眉を寄せて怪訝そうに顔を歪めたアイリ




「どうしたの」




ポツリ、やはり単語だったけど俺について質問されるのは嬉しい。





「や?別に。たださ」



”アイリが楽しそうだと俺も嬉しい“










一瞬、アイリの周りの時間が止まったみたいだ


無表情だけど、その瞳はどこか驚いたような感情を漂わせている



え、あ、なんか、ちょっと。



今思うと俺なんかイタい奴みたいだな

ツッ…と冷や汗が背中を流れる


「あ、いや、別に深い意味はないッ」



あはは、と笑いながら誤魔化…せてるか?



視線を空中に漂わせて、もう一度アイリを見る。


あ、もういつものアイリだ。



「変な奴。まだ会って数回なのに」



まぁ、そうだよな


でも、好きなんだよな




「だから、もっとアイリの表情みてみたいと思うんだとおもう」


アイリの楽しそうな顔がみたい

笑った顔がみたい

俺って欲張り?







「ッ!」


穏やかな顔でアイリを見ていると動揺している彼女


見開いた目はどこか虚ろ。


初めて彼女のこんな表情をみた





「そう」

スッ、っと息を吐きいつもの調子に戻った


だけど頬のひきつりは直せてない




アイリの側に座って彼女のカオを見つめる


うん、やっぱり綺麗。


サラサラ流れる金髪がすごい好きだ


青の髪の俺からすると結構羨ましい




「あ、そういえば、さ」





思い出したように呟けば、書物から顔を上げ俺をみつめてくる