「ん、そうだね」
アキは軽くうなずく。
まぁアキだって学期末の微妙なときに入ってきたけどな
「なんか、事情があんのかな」
事情があって、彼氏と転入してきた?
いくらカップルだからって一緒に転入ふるか?しかも微妙な時期に。それも、大陸から海を渡って。
駄目だ、わからない
アイリは謎が多すぎる。
「謎だよねー、あいつら。」
なんか出身の学校とかも言わなかったらしいよ、と軽くいうこいつ。
ああ、そうだな。
今の俺たちは何も知らない
アイリのこと。
だけど何か、知りたいって思うんだ
また、会えるかな。
あったら、質問できるよな
淡い期待に胸を踊らせた
「__ちゃん、今日どうしたの?元気ないね?」
「…なんでもないの、ごめんね心配かけて」
「なんでもアタシに言ってね!!」
ほら、だって、私達って。
親友、でしょ?
あ。
「あー!!アイリちゃんがエイルと一緒に帰ってる!!!」
アキが俺の隣で叫ぶ。
なるほど、あれがエイルか。
教室の窓から見える、肩を並べて歩く二人。
一人は金髪の長髪。アイリだ。
隣には、後ろ姿しか見えないけど金髪が柔らかそうな男。
女子にしては高いアイリと並び、恐らく180手前くらいの身長。
「うわ、超イケメン…」
振り返ったときに見えた横顔。
色白の肌に涼やかな目元。
鼻筋がスッと通っている
その佇まいが気品を感じて。
「なんか、お似合い、だよね」
アキ、俺もそう思ったよ
お似合い、と思った途端
チクリ、と痛む胸。
気づかない程鈍感な俺じゃない。
ああ、そうか。
そういうこと、か。
まだ一回しか会ってないのに
話だって全然したことないのに
真剣に文字を追う瞳に
まっすぐな金髪に
俺は、恋をしていたみたいだ
「なーにしてんの!!リク!」
ガツンと頭を殴らる。
俺にこんなことするのは一人しかいない
「リエ、やめろ」
俺の幼なじみ、リエ。
リエはアイリと同じクラス
運動部で日に焼けた肌が活発そうな、アイリと反対な女の子。
「あー!!アイリちゃんだ!隣は…エイル君だ」
テンションが上がったみたいでリエは、エイル君カッコイイー!!と叫んでいる。
いや、やめてくれ。
今の俺には大ダメージだ。
「カッコいいなー!!」
「そうだな」
確かに否定は出来ないけどさ
「エイル君って王子様みたいだよね!」
確かに、エイルの外見は王子を連想させた
やわらかそうな金髪。
着崩されはいても、着こなされている制服。
学ランの、第二ボタンまで開かれていてズボンはきっちりはいていた。
リエ曰く、態度も王子様っぽいらしい
いつも微笑んでいて、誰にでも優しい。
授業態度も真面目で頭もいい。
運動もできる。
まるで女子の理想とする男子そのものだ。