国には、もう何百年も前からその土地を治める王家がある。
青の国だとウォール家だ。
ウォール家には王子が二人、王女が一人いる。確か、次期王は長男になるらしい。
長男は頭脳明晰でこれからの国の発展に期待されている…とよくニュースで言っている。
この国に偏差値の高い高校がないから、本当に勉強がしたい奴は中学からこの国を…島を出て行く。
王子や王女だってそうだ。
今は他国に留学中だ。
金の国には王子が3人、王女が二人いる。
緑の国には王子と王女、一人ずついる
…いや、居た、というべきか。
緑の国の王女は事故にあって、亡くなった。
去年くらいのことで、世界的にも大きく取り上げられたからよく覚えている。
それに加えて、彼女は俺と同い年だったこともあり学校でも話題になった。
王家の者が若くしてなくなるのは珍しいこと。
幸い、緑の国には王子が居たため、そこまでの混乱にはならなかったが。
そういえば、彼女、アイリは金の国の本をもっていた。
金髪だし、恐らく金の国出身なのだろう。
珍しいことでもないしな
国民のやく四割程は他民族である青の国。
道を歩けば、金髪や青髪、緑髪に赤髪、白髪に黒髪…
様々な髪色が入り交じっている
俺は青髪だけど、アキは金髪だ。
他国を認め、互いに刺激しあい高めあう
謂わば、最高の形。
それが、この世界の在り方だ。
「えええええええ!!!」
「うっせーよ」
「マジで?会ったの?アイリちゃんに?うわ、羨ましい!しかも喋ったの?畜生、俺も一緒に図書室行っとけば…」
翌日、アキに昨日のことをはなした。
アキ曰く
「転入生の女子、アイリちゃんは超美人だけど滅多に笑わない。無表情で関わりにくい」
だって。
確かに、アイリは無表情だったけど。
すごく真剣に本を読んだり
小さく笑ったりして
周りが言うよりも、もっと感情があるんじゃないのかな
って、俺まだ出会って一日なのに。
何知ったようなこといってんだか。
「あ、そーそー。それでね、よくアイリちゃんと一緒にいる転入生についても少しだけ分かったんだよ。」
「聞きたいでしょ」
…そりゃ
「聞かせてくれよ」
知りたいに、決まってるだろ。
アイリの彼氏?らしき人物。
「エイル、って名前で超イケメンなんだよ」
超イケメン、ね。
まぁアイリだって天使なんだからその彼氏なら王子か…
「アイリちゃんと一緒で金髪な。多分、大陸から転校してきたんだと思う」
大陸。
俺たちは緑や金、赤の国の人たちを大陸と言う。
大陸はココ、青の国とは違いもっと都会で特に金の国なんてまるで別の世界みたいだ。
「金の国ってことはお前と一緒か。」
そう、アキだって中学三年の終わり頃に大陸から来た。
「そうそう、だから俺とアイリちゃんとエイル?君は多分皆金の民なんだよね」
なるほどな
全然共通点が見えなかったけどアキとは出身国が一緒なんだな。
ついでに容姿も綺麗だし。
…まぁアキはカッコいいより可愛い系男子だけど。
「こんな時期に転入生なんて、珍しいよな」
「ん、そうだね」
アキは軽くうなずく。
まぁアキだって学期末の微妙なときに入ってきたけどな
「なんか、事情があんのかな」
事情があって、彼氏と転入してきた?
いくらカップルだからって一緒に転入ふるか?しかも微妙な時期に。それも、大陸から海を渡って。
駄目だ、わからない
アイリは謎が多すぎる。