俺以外に歴史書、読むやついたんだ。

二つ前の本棚って云うと…隣の国に関する書物があるやつか。

俺がよく使う本棚は、世界全体の歴史を記したものだけど、前の本棚には各国ごとの歴史の本がある。


どんなやつなんだろう。


大抵の奴は知り合いのこの学校。
同じ趣味をもつ仲間、見てみたいな。
やっぱ、先輩とかなのかな。



本をそっと閉じて音を立てないように立ち上がる。

足音が鳴らないように慎重に進んで、棚から覗き込むように顔だけを出してみる。






そこには、天使がいた。


金髪のストレートの髪に色白の肌。

ピンクの唇に二重の瞳に長い睫毛。

スカートから覗く脚は細くて長い。

身長も一般的な女子よりも高い。


顔の半分しかみることはできないけどその美しさは十分に伝わってきた


真剣に文字を追う姿は、誰が見たって魅了されると思う。





思わず魅入ってしまい、少しバランスを崩してしまう。


あっと、小さく呟き体勢を整えるが、

もう、手遅れだ。


クッと、綺麗な眉を顰め俺を怪訝そうにみる天使。

き、気まずい。絶対見てたこと、バレたよな


「あ、え、ええと。べ、別に隠れてた訳じゃなくてココ利用する人あんまいないから誰か知りたくなっただけで…だから別に、本当に!覗いてた訳じゃないんだよ」



慌てて弁解していると、自分が何を言っているのか分からなくなる。



三秒くらい、だろうか。


クスッと笑う声がして天使の方を見る。


でももうそこに笑顔は無くて無表情に彼女は立っていた。



「別に、気にしてないから」


女子にしては少し低い凛とした声が響く。


もう俺に興味はないと言わんばかりにまた本に視線を落とす彼女。


え、俺どーしたらいいの。



と、とりあえず普通は自己紹介だよな

「俺、リク。2年F組。サッカー部だ。よろしくお願いします」

とりあえず、敬語かな、先輩かもしれないし。

いや、でもさっき思いっきりタメだったわ…


再び俺に視線を向けた彼女

素直に高鳴る胸に、美女は罪だな、なんて思う


「私の名前はアイリ。2年D組。転入生。よろしく」


アイリ…


綺麗な名前だな。


美しい彼女にぴったりの名前だと、



そう思った。


俺の暮らす国、青の国。

大海に浮かぶ小さな島で漁業が盛んな国だ。

青の国と云われる由来は、元々の原住民が瞳と髪が青色だったかららしい。

今でも国民の半分以上は青色の瞳と髪をもった者だ。

反対に、それ以外は第四時世界大戦後、海を挟んだ大陸から移住してきた民族の末裔だ。



隣の大陸には金の国と緑の国がある。

緑の国は森林が多く、林業で生活を立てている者がおおい。国民の多くは緑の髪と瞳をもつ。

金の国はそのまま、金や銀がとれる。
その為、世界的にみても財政においては常にトップだ。国民は金髪に金色の瞳をもつ。

緑の国と金の国がある大陸には他にもいくつかの国がある。


世界には三つの大陸がありお互いに助け合ってなりたっているんだ。



青の国は大陸じゃなくて、小さな島だ。

この国にはいくつかの高校があってココは偏差値は高くないが金があれば誰でも入れるって噂の高校だ。


というか、事実だが。







国には、もう何百年も前からその土地を治める王家がある。

青の国だとウォール家だ。

ウォール家には王子が二人、王女が一人いる。確か、次期王は長男になるらしい。

長男は頭脳明晰でこれからの国の発展に期待されている…とよくニュースで言っている。


この国に偏差値の高い高校がないから、本当に勉強がしたい奴は中学からこの国を…島を出て行く。

王子や王女だってそうだ。
今は他国に留学中だ。



金の国には王子が3人、王女が二人いる。

緑の国には王子と王女、一人ずついる

…いや、居た、というべきか。

緑の国の王女は事故にあって、亡くなった。

去年くらいのことで、世界的にも大きく取り上げられたからよく覚えている。







それに加えて、彼女は俺と同い年だったこともあり学校でも話題になった。


王家の者が若くしてなくなるのは珍しいこと。

幸い、緑の国には王子が居たため、そこまでの混乱にはならなかったが。




そういえば、彼女、アイリは金の国の本をもっていた。


金髪だし、恐らく金の国出身なのだろう。




珍しいことでもないしな


国民のやく四割程は他民族である青の国。

道を歩けば、金髪や青髪、緑髪に赤髪、白髪に黒髪…

様々な髪色が入り交じっている


俺は青髪だけど、アキは金髪だ。