「______はい、てことで明石、よろしく!!」
「…ほぇ!?」
やば、全然聞いてなかった。
びっくりしてマヌケな声出してしまった…!
ちらっと千真くんの方を見ると、
なんかめっちゃ笑いこらえてる…
「な、何がですか?先生?」
「おいおい、ちゃんと話聞いとけよ。
自己紹介、出席番号1番からよろしく。」
うぇー… 自己紹介、あたしはいっつも一番最初。
「えっ…と、明石愛桜です。北中から来ました。」
他は何を言えばいいのかな…
ど、どうしよう…
とにかく、何か言わなきゃ!
あたしは焦って、プチパニック。
「き、今日初めて、自分が方向音痴だと知りました。
よろしく、お願いします…!」
ーーーガンッ
お辞儀をしたら、机に頭をぶつけました。
自分でもよく分からないことを言いました。
うわぁぁあ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!
最悪な始まり…
「…ぷっ」
誰かが、吹いた。と、同時にみんなから笑いが起こった。
あらら、なんかウケちゃった。結果オーライ…?
「明石、お前面白いな!じゃあ、次!」
せ、先生にまで笑われちゃったよ…
はぁ、とため息をついて席に座る。
そしたら、横からちょいちょい、とつつかれる。
横を向くと、隣の席の女の子が話しかけてきた。
わ、可愛い…!
「明石さん、面白いね!!あ、あたし江口 遥香 ( エグチ ハルカ ) 。
よろしく〜!愛桜って呼んでい〜?」
「うん。もちろんいいよ!よろしくね、遥香ちゃん。」
「遥香でいいよ 〜!!」
良かった〜、友達ができて!
それからしばらく夢叶と話してたんだけど、
先生に「静かにしろ」って怒られた…
「_______じゃ、次は宮原。」
あ、千真くんだ。
「宮原 千真です。よく聞かれるんで先に言っときます。身長は185cm!小1の頃から野球してます!ポジションはキャッチャ-です!」
『野球』
その単語を聞いただけで、あたしはテンションがあがる。
野球が大好きだから。
野球選手にかっこいいひとがいるから好き、とかそんな理由じゃなくて、
上手く説明できないけどとにかく大好き。
見るのも、するのも。
日記に書いてる途中だった、
あたしがわざわざ、家から遠いこの学校を選んだ理由。
それは『野球が強いから』。
ーーーーーキーンコーンカーンコーン
千真くんの後ろの席の子が自己紹介を終えた時、チャイムが鳴った。
今日はこの後、入学式があって、終わり。
部活見に行っても、帰ってもよし。
「入学式、めんどくさいねぇ…」
遥香がはぁ、とため息をつく。
「そうだね。でも、それだけ頑張ったらあとは楽じゃん?」
「うーん。あ、そういや愛桜、部活とか決めてる?
ちなみにあたしは、バスケ部!!」
「あたしは…「おーい、早く静かに並べ!私語厳禁!!」」
やば、注意されちゃった。
先生明らかにこっち向いて言ったよ…
「愛桜、後で話そ。」
「うん。」