学校に1番近い駅で降りて、学校に向かう。
本当は自転車に乗り換えるんだけど、今日は道を覚える為にも
歩いて行く。
迷わないように、ちゃんと地図を持ってきた。
だからさすがに、迷うなんてことはない!!
…はずだったんだけど。
「ここ、どこ?」
おかしいなぁ。地図をちゃんと見たはずなのに。
なぜか周りは、田んぼばっかり。人は、いない。
あたしってもしかして、方向音痴??
ど、どうしようか。
「…とりあえず、歩いてみよう。」
じっとしててもしょうがないしね!
どんどん、道を進む。
ふと、時間が気になったので時計を見ると…
「げッ!7時50分…!」
うわ!どうしよ。
新入生は確か、8時5分に行かなきゃ悪いんだよね…
とにかく!人に会えればなんとかなるはず。
そう思って、周りを見渡してると…
「…ん?」
前から、自転車が猛スピ-ドで来る。
よく見たら、同じ高校の制服だ!!
た、助かった~…
と思ったんだけど、自転車はあたしの横を
過ぎ去っていった。
「あ、ちょっと、まっ…」
すると「待って」、という前に、自転車が急停車して、
自転車に乗ってる坊主頭の男の人が、ぱっと振り返った。
あ、イケメン。見た感じでは、先輩かな?すごく背が高い?
「乗って。」
「…へッ?」
あたしまだ、何も言ってないよ?
「迷ってんじゃないの?違うなら俺、急いで…」
「ま、ま、ま、待って下さい!乗ります、乗ります!」
そう言って、あたしは自転車に股がる。
「ちゃんと掴まって。ぶっ飛ばすから!」
「えっ!?」
あたしは戸惑いながらも、男の人の背中に掴まった。
よく分かんないけど、とりあえず良かった…