「よし、じゃあ明石、電話番号とLINE、教えてよ。」
「え、あ、うん。」
そう言って、番号とLINEを交換した。
「んじゃ帰ろっか!」
「え?」
い、い、一緒に帰るの?
「嫌?」
あたしは首をぶんぶん横に振った。
「い、嫌じゃない、けど…」
恋愛経験ゼロのあたしは、
もちろん男子と帰ったことなんかない。
てゆうか、何で一緒に帰ろう、って
誘ってくれるの…?
「いや、だってさ、道ちゃんと覚えてねぇだろ?」
あ…なんだ、そういうことか。
てかあたし、何で少しがっかりしてるの…?
「だから駅まで送ってやるよ。」
千真くんは優しいから、心配してくれてるんだろうな。
「ありがとう。でも、部活見にいかなくてもいいの?」
「あー、全然大丈夫!俺、推薦だから春休みから練習参加してんだけどさ、今日は休みなんだよ!まぁ明日からまたあるけど」
「そっか。じゃあ、道案内よろしくお願い致します。」
「お任せください、お嬢さま。」
千真くんが、うやうやしくお辞儀をする。
執事のつもり…?
「…ふふっ、千真くん、面白いね。」
「よく言われる!俺といると楽しいって(笑)」
「うん!楽しい!でもさ、自分で言う?(笑)」
そんな会話をしながら、あたしは千真くんと、駅まで帰った。
「送ってくれて、ありがと。」
「どーいたしましてっ!」
その時ちょうど、あたしが乗る電車が来た。
「ナイスタイミングだね!!」
「だな!んじゃ、また明日な。」
「うん!じゃあね!」
千真くんはそのまま、自転車に乗って、帰っていった。