「そんなことないよ。
ノイさんが経験してきたことは、
私には夢みたいな話で……。
それに……。」


私はそこから続きが

言えなかった…。


続きを言おうとしたけど、

胸が苦しくて。


涙がこぼれそうになった。


だから私はうつむいて、

涙を見せないようにした。


もうノイさんの悲しい顔は

見たくなかった。


「……それに……………」


続きを話そうとすると、

こらえていた涙が

堪えきれなくなって

こぼれ出てしまった。


夜が暗くてよかった。


生まれて初めて

そう思った。