むしろ『楽しい』
そう思えた。
こんな風に思えた夜は
どれくらいぶりだろう……?
ノイさんの話の
一つ一つが楽しくて、
羨ましくて……。
「私も、そんなこと経験してみたかったな……」
私は小さな声で
そう言った。
ノイさんは笑顔で
私に返してくれた。
「俺の話聞いてて本当にそう思った!?
結局、最後は失敗ばっかりだし……」
ノイさんはそう言って
笑って飛ばしたけど、
私には本当に
うらやましいことだった。
ノイさんが話してくれることの中に
私が今までに
経験したことのあるものなんて
ほとんどなかった。