「ノイさん、ノイさん……。」


私は名前を呼ぶことしか

できなかった……。


沈んでいく夕日に

照らされて

赤く染まるノイさんの顔は、

優しくて、

温かくて、

ちょうどあの時の

あの人みたいに……。


ノイさんはカルさんとの

思い出の続きを話してくれた。


日がしっかり沈み、

私たちの周りが暗くなるまで

ずっと話してくれた。


不思議な感じだった。


いつもなら夜は

悲しかったり、

さびしかったり……


そんな気持ちしか、

しなかった。


だけど今日は

そんな気持ちは

湧いてこなかった。