その声を聞いたら

私は思わず呟いてしまった。


「いいなぁ……」


その言葉にノイさんが

不思議そうな顔をして、

私の方を見つめてくる。


そっか……。


自由に外で遊んだり、

気軽に友達と

走りあったりするのって

他の人にとっては

普通のことなんだ。


「私、ずっと一人ぼっちだったんです。
小さい頃から友だちもいなくて……」


自分でそう言うと、

さらに悲しみがこみあげってきた。


悲しい顔をしてるのを

ノイさんに見られたくなくて、

前を向いたまま言葉を続けた。


「ずっと一日中、習い事ばかりで……
あんなふうに走りあったりしたこともないんです……」


「…………」


私が話した言葉に、

ノイさんは返事をしなかった。