そして私が
ノイさんの手を握れずに、
唇をかみしめていると、
私の近くにいた護衛の人が
ノイさんの手を掴み、
連れて行こうとした。
ノイさんは私に
悲しい表情を見せてから、
護衛の人と
立ち去ろうとしていた。
ノイさんと護衛の人が
こちらに背を向けて
歩き出した時に、
私は抑えていた感情が
抑えきれなくなってしまった。
「ノイさん、助けてよ!!
いつだって助けてくれるって言ったのに…!!」
その声を聞いて、
ノイさんは私の方を振り返った。
そして私の顔を見ると、
すぐに護衛の人の手を振りほどき、
私の方に走ってきてくれた。
そしてあの優しくて、
温かい声で
もう一度私の名前を呼んでくれた。