私の涙を見て、

その人は悲しい声で

私の名前を呼んだ。


その声を聞いたら、

胸の中でずっと

こらえていた気持ちが

言葉となって

溢れ出てきてしまった。


「助けて……」


その言葉を聞いて、

ノイさんは

助けてくれたときと同じように

手を差し伸べてくれた。


私はその手を握って、

どこまででも行きたかった。


二人で一緒に……。


だけど、


できないよ……。



ノイさんが

差し出してくれたその手を

私は握ることができなかった。