茶髪のその人の言った言葉が
心にぐっと来た。
純粋に嬉しいって
気持ちもあった。
だけどそれ以上のものを
私は感じていた。
私はずっと
人の優しさとか、
人のぬくもりとか
そう言うのを
忘れていたのかもしれない。
同じような毎日を過ごし、
多くの人と
接する機会もない私には、
いろいろなことを経験したり、
いろいろなことを感じることが
とても少なかった。
だから、
その言葉は
今までに感じたことのないような
感覚を起こさせたのだった。
「そういえば名前聞いてなかったね…」
急に茶髪のその人は
私にそう話しかけてきた。