だから私は、

すぐに息が切れはじめ

痛くなってきた足を

一生懸命に動かして、

その人に

ついて行った。


茶髪の人は、

一度私の方を向いたが、

真剣な表情で

前を向いて

走っていた。


その人の私の腕を握る手は、

とても暖かくて

今までに体感したことのないような

感覚がした。


その時に、

私の腕を掴む茶髪の人の

左手首に何か書いてあるのが

少しだけ見えた。


『十字架に翼』


確かにそう見えた。


私はそのマークを見て、

不思議に思った。