だけどそれは、

感覚だけではなかった。


「痛~…」


そう言いながら

目を開けると、

そこはあったのは

見慣れたお城の中の

風景ではなかった。


「ここ見たことない…。
ってことは…」


私はお城を

抜け出せることができたのが

本当に嬉しかった。


でも長くは

ここにはいられない。


お祭の日は毎年、

部屋の中で過ごす

時間があった。


でも、

夕方頃には父が

部屋に来てしまう。


『だから、父たちに心配させないように、
それまでにはお城に戻ろう』


そう思っていたからだった。