私を先頭に、

普段使われない

お城の避難経路を使って、

お城の中に向かっていった。


ずっと使われていなかった

避難経路。


私がこの通路を

通るのは三度目。


一度目と二度目は…

あの思い出したくない時…。


薄暗い通路は、

あの時と

何も変わっていなかった。


通路の中間のあたりで、

私は立ち止まった。


そこで通路の壁に

手を触れた。


やっぱりあった…。


小さく刻んだ、

思い出の一つ。


あの時に刻んだもの…。