はぁ、と安堵の溜息をつき、私は家に帰ろうと立ち上がった。



「なぁってば」



後ろから、聞き覚えのある声が私に声をかけた。

…いやいや、まさか。


恐る恐る振り返った。



「…あんた、今俺と電話してたよね?」



嫌な予感は見事的中。

ああ、私はなんて運が悪いのだろうか。


いや、これは運というより自分で招いた悲劇だ。
もう、しょうがない。



「ご、ごめんなさい。ちょっとした遊び心で…」

「いや、別に良いよ。まず俺が掛け間違えたのが悪い」



チャラそうな外見に反して、結構良い人だ。

少し安心した。