冷たい風がマフラーを揺らす。
俺はただ、いつもみたいに学校の帰り道を歩いてたんだ。
今は11月。
今月誕生日を迎える俺はいつになく機嫌が悪い。
親父とお袋は毎年俺の誕生日を祝おうとするけど、俺にとって誕生日なんておめでたくもなんともないんだ。
プレゼントは何が欲しいって聞かれて“タバコ”って答えたら親父に殴られる始末だし。
ったく、やってられっかっての。
「ひゃっ!」
歩いていると、突然誰かがぶつかってきて、俺は後ろに倒れた。
「ってーな!」
起き上がって打った箇所を擦りながら、ぶつかってきた奴に文句をぶつける。
よく見るとそいつは女で、パジャマを着ていた。
「痛ーい」
その場に座り込んで足を擦ってる。
つーか、なんで街中でパジャマ?
てか謝れよ!
段々腹の立ってきた俺は立ち上がって、その女に歩み寄った。
「おい」
俺の声に、女は顔を上げる。
「“痛ーい”とか言う前にそっちからぶつかってきたんだから謝れよ!」
機嫌の悪い俺は、たぶん物凄く歪んだ顔をしてるだろう。
けどそいつは怖がった顔をする事もなく
「ごめんね」