静かな病室で、私はまた「お母さん」と呟いた。
「あ、あれ……何で……」
優さんがいなくなって心細くなったのか、また体が震え始めた。
震えを止めようとしてみるけど止まる気配はない。
窓を開けて外の空気を吸おうと思って、座っている丸椅子から立ち上がろうとしたが、体に力が入らなくて、立ち上がる事ができなかった。
「……優さん」
何も言わずに一晩中、ずっと一緒にいてくれた優さんの存在は、思った以上に大きいものだったらしい。
不安を誤魔化そうとベットに突っ伏して、目を閉じた。
それでも睡魔がくる事もなく、時間が経過していくのが途方もなく遅く感じられた。