私は一晩中、お母さんのそばにいた。
一睡もできなかった。
涙も止まってはくれなかった。
優さんも、眠る事なくずっとそばにいてくれた。
お母さんの意識が戻る事ないまま朝を迎えて、私は優さんに仕事に行くよう促した。
「でも春依ちゃんは……」
「私はこのまま、ここにいます。学校はお休みさせてください」
「それなら僕も一緒に」
「大丈夫ですから。優さんはお仕事に行ってください。私1人でも、平気です」
優さんに心配させないように、どうにか口角を上げて笑顔を作っていた。
かなり渋っていたが、優さんは「何かあったらすぐ連絡してね」と言い残して病室を後にした。