「春依ちゃん、僕は先生のお話を聞いてくるからね。すぐ戻るから」


優さんが病室を出て行ってからも、私は静かに涙を流し続けた。



強く握っても、握り返してくれない手。

私の名前も呼んでくれない。

明るい笑顔も今は見る事ができない。



「お母さん……絶対に、死んだらダメだよ……?」


お願いだから、いなくならないで。



私を1人ぼっちにしないで……。




しばらくして、先生の話を聞き終わった優さんが病室に戻ってきた。


優さんは遠慮がちに告げた。



お母さんは極めて危険な状態で、目を覚ます可能性が低い事を。