病院の人が、どうしてうちに電話を?
嫌な不安が漂い、暑くもないのに汗が額から頬へ伝う。
子機を持つ手も震えている。
そして次の瞬間、聞こえてきた言葉に、私は大きな衝撃を受けた。
持っている子機を床に落として、崩れるように私はその場に座り込んだ。
「春依ちゃんっ……」
ただならぬ様子に、優さんが慌てて駆け寄ってきた。
私の背中をさすりながら、優さんは床に転がっている子機を手に取った。
優さんが、真剣な表情で電話の相手と会話をしている。
私はそれを他人事のように眺めていた。
電話の内容は、私のお母さんが事故に遭って、病院に運ばれた、という残酷な知らせだった。