家に帰って、何もやる気が起きなくて、リビングのソファに座ってぼんやりと過ごした。


室内が暗くなり始めて、そろそろ電気を点けないとなぁ、と思い始めた頃、優さんが帰宅。



「ただいまぁ~。って、春依ちゃん!ちゃんと電気くらい点けなよ~!」


リビングに明かりが点されて、眩しさで目を細める。



私の様子から優さんは何かを察したらしい。

体を密着させるように、隣に座ってきたかと思えば、「どうしたの?」と顔を覗き込まれる。



「別に、何でもないですけど……」


「嘘っ!絶対に何でもなくないよ!だって春依ちゃん、見るからに元気ない。何か、あった?僕でよければ、どんな相談にでも乗るよ?」


ちょっと、ズルい。
普段はちょっとぼんやりしてて、子供みたいなのに。

こういう時は、ちょっと頼もしくなる。


そのギャップ、なんか卑怯だ。



「琉璃香ちゃんと、なんか……気まずい事になって……」


「喧嘩しちゃったの?」


「喧嘩、とはちょっと……違う気がします……」



喧嘩ではない。
どう説明したらいいんだろう?



「喧嘩じゃないんだったら一度、じっくり話し合ってみたら?森口さんとは親友なんだしね」


「……はい」


「ほら、そんな暗い顔しないの。多分もうすぐ、春依ちゃんのお母さんも帰ってくるだろうし」



あ、そうだった。
今夜はお母さんが帰ってくるんだ。
優さんとの同居も、終わっちゃうんだ。


いろいろな事があったせいかな?
胸の中が今、少し混乱してる……。