私は立ち上がって、直ぐに




 「じゃあ、行こっか。」




 と歩き始めた瞬間、すっと、手が伸びてきて、夢斗の左手と

 私の右手が、触れて、指と指をからませた。





 そう、手を繋ぎにきたのだ。




 
 心臓ばくばくして、なんか一瞬時が止まった気がした。




 
 隣をみると、平然としている夢斗がいた。

 
 …ん?どういうこと??




 と心の中で何回も、確認をしたが、なかなか聞き出せないでいる自分が腹ただしい。




 「ん?どうした?」




 なんて、普通の顔して言われたら、なんて答えたらいいか分からないんだよ。




 「ん、これなにっ?」




 と、組んである両手をあげて、夢斗の前に差し出した。




 「えっ、手繋いでいるだけだよ…いけない?」

 


 「いけなくはないけど、いきなりはびっくりするよぉ。」

 


 「そっかぁ~さすがに、ん~ごめん、でもまっいいか。」

 


 なんか、良く分からない言葉だと最初は思ったが、でもなんか

 本当にどうでも良くなってきているので、まぁ~これもいいかと思えてきた。

 


 でも、こういうかいわってなんだか幸せだなと、そこで初めて実感したのも

 確かであり、こんな経験はそんなしょっちゅう味わえない事なんだとも思えてきた。

 







 私たちは勢いよく、そごうの中に、少々軽い足取りで入っていった………