「ほら、あと3日!。たったの3日できなくてどうするのよぉ~。」

 声を張った。張った分だけ、メンバーへつながる気がした。

 


 夢を諦めたくない。



 諦めたらそこでおしまいだから。



 どんな結果になろうとも、何とか歯を食いしばり、やりきりたい。



 それしか頭にはなかった。




 「ご苦労さん、なかなか今日のトス良かったよ。」




 「ありがとうねっ、最後までやりきってくれた、これで大分強くなるから、」




 「今日は、変なレシーブしちゃって、ごめんねっ。」

 


 
 自分ではない言葉がどんどん出た。



 でも、これで自分が奮いたたせるきっかけにもなるかと思い、

 これで、新しい自分になるのかと少しの期待と、大きな不安を抱きながら

 自分は今のポジションに立っていた。





 
 帰り道、重い体を引き釣りながら、帰ると、妹に駅で偶然出会った。




 「おねちゃんがんばるねぇ~、本当に。何でそんな無理をするのよっ?」

 妹は昔から、何をやらせても上手かった。



 人付き合い、スポーツ、足りないのは勉強だけだったのかもしれない。

 


 でも、来年の春には同じ高校で私が3年生、妹の彩子は1年生で入ってきて、

 バレーをするみたいだ。



 彩子も、最後の試合の練習真っ只中だが、本当に気楽なものだった。

 


 自分にはない、天真爛漫なところ。



 物事を深く考えず、どうにかなる差という考え。



 裏やまして、すばしっこくて、ずる賢い。



 母親譲りなところでも、憎めないいい妹だった




 帰りは他愛もない話になり、意外な一面を見せた。