外は何時もと変わらないいい天気で、なまっていた体を起こすように

 駅まで走った。

 汗はあまりかかない、これも多分爽快感や、気持ちのいいことではなく

 体には良くない事は分かっていた。

 
 でも、疲れている体は嫌いではないので、わざといじめてみた。


 学校に着くと、久下先生が珍しく一番に体育館のモップがけをしたいた。


 「先生、いいよぉ、自分たちでやるからぁ~。」
 
 「いやいや、いいだ、見ているだけだとなんか、申し訳なくて…。」

 
 こういうところが先生のいいところだ。

 「そうですかぁ~そんな気を使わずにいいのに…、でも正直にうれしいです。

  そういう姿勢って…」

 
 ありがたいなぁ~って心底思えた。

 

 そのうち、生徒たちが続々と集まってきた、久々の練習再開で、号令と

 ミーティングからはじめた。

 まずは久下先生から言葉を発した。

 「いいか、みんな、仲間の死は非常に辛い。先生も、何人か見てきたが、いつ見ても

  辛い。人間誰かが死んでいいというのだけはない事を知ってほしい。悲しむ人間が

何人いるか、生きるべき、この世に生を受けてきたんだ。

その事をしっかり踏まえるように。」

 


 しみじみに心に響く言葉だった。

 確かに、そうかもしれない。死ぬなんて考えることは間違っている。

 間違いだけど、その中でも生きないといけない。

 生きること、本当に大事なんだと思った。


 続いて私の番だった。

 「先生も言われているとおり、自分たちが今なんで、ここにいるかしっかり認識して

  やっていこうねっ。鈴木のためだけじゃない、自分のため、チームのため、家族のため。

  色々な人がいるから、自分が成り立つ。そういう結果をだしていこうねっ!」


 気持ちのありのままに言った。メンバーの顔が少し、自分の表情を取り戻した事が

 何よりの手ごたえだった。


 生きすべきもの、全ての人に困難はある。幸福もある。誰にでも。

 だから面白い。


 
 自分も克服しないとなぁ~