一歩足を踏み入れただけで、現実世界と切り離されたような感覚に陥る。




神聖な場所。
清められた空気。



自然と、深呼吸をしていた。






願いごとを叶えたくて。





神社の気で私を満たせば、うまくいく気がした。






賽銭する前にもう一つの目的は果たした。




今日の為に用意した五円玉を賽銭箱に投げ込んで、丁寧に、二礼二拍手。



鈴に繋がる綱を揺らすと、カランコロンッと音が響く。






「………」





うまくいきますように。

報われますように。





どうか、叶いますように。









願うのは3回。



誰かにそう聞いたけど、納得がいくまで何回も、一つの願いごとを唱え続ける。





お願いします、神様。





目を開くと同時に、詰めていた息を吐き出す。

背筋を伸ばして、深々と長く頭を下げた。