「………っ」
意志の強い横顔が、すごく好きだったのに、今はただただ虚しい。
ファミレスのザワザワ感が、余計にそう思わせてる気がする。
「久しぶりにゆっくり会えたのに。
今日くらい勉強しなくていいじゃん!」
せっかく個室を陣取ったって、会う時間をつくったって、翠が私をみてくれなきゃ意味ないのに。
…気付いたら口から零れてた。
今月の下旬からはじまる一般入試。
最後の追い込みで、本当に大切な時期ってことも、分かっていたのに。
ピタリ。とシャーペンを握る手が止まって、それを机に寝かせる。
何かを訴えるかのようなテンポで顔を向けてくる翠の行動に、込み上げてくるものがあった。
「今日くらいって思う日、ないから。
俺にとって今は大学受験が一番大事。
今後の就職とかにも関わってくるし」
翠の声色は決してキツイものじゃない。
あからさまに冷たい訳でもない。
それなのに、例えようのない空虚感が襲ってくるのは、どうして?